METHODS工法紹介

モルタル・コンクリート吹付工

モルタル・コンクリート吹付工 モルタル・コンクリート吹付工

モルタル・コンクリート吹付工は、風化しやすい岩、風化してはげ落ちるおそれのある岩、切土した直後は固くてしっかりしていても、表面からの浸透水により不安定になりやすい土質ならびに団結シルトなどで植生工が適用できない箇所に用いる。

※「道路土木 のり面工・斜面安定工指針」平成11年3月:(社)日本道路協会 抜粋

モルタル・コンクリート吹付工は、不透水性材質で地山を覆うことにより、侵食や風化を抑制し、法面の安定を図り、上部斜面に波及が予想される荒廃を防止することを目的とする。したがって、岩石が露出し、緑化等が困難な法面で放置すれば上部斜面に崩壊が進行する恐れのある場合に用いる。当工法は広い面積に効率よく施工でき、急勾配やオーバーハングした法面にも施工できる工法である。

モルタル・コンクリート吹付工の区分

工法 判定基準1 判定基準2
モルタル吹付 地盤が軟岩以上で、法面自体が十分安定している。
気象条件(寒暖の差)もよく、湧水処理が可能な場所に適用する。
●硬岩、準硬岩で、小さな落石が多く発生し易い場合●雨水、凍上等により風化し易い地山の場合●地山の緩み厚が小さく落石規模も小さい場合
コンクリート吹付 地盤が軟岩以上であることを原則とするが、団結の高い砂質土や礫混じり土以上(土丹)にも計画できる。しかしこの場合、風化の程度や湧水、気象条件、法面勾配等を考慮して、他の工種との比較検討を行う。 ●軟岩及びくずれ易い準硬岩で法面全体が均一でなく風化の進んだ場合でモルタル吹付では適さない場合●湧水、雨水、凍上等により風化し易い地山の場合

判定基準1:「最新斜面・土留め技術総覧 編集:最新斜面・土留め技術総覧編集委員会」
発行:(株)産業技術サービスセンター
判定基準2:「設計基準(1)〔共通・道路〕 監修:長野県土木部 平成10年」
発行:(財)長野県建設技術センター

地山の状態と吹付厚

地山の状態と吹付厚

斜面勾配と吹付厚

斜面勾配と吹付厚

※最新斜面・土留技術総覧 (株)産業技術サービスセンター

吹付材料配合比

吹付材料配合比

事例1

長野市大岡 2020年8月施工
長野市大岡
2020年8月施工

事例2

長野市上ケ屋 2017年10月施工
長野市上ケ屋
2017年10月施工

吹付枠工(フリーフレーム工法)

吹付枠工(フリーフレーム工法)

吹付枠工は亀裂の多い岩盤法面の保護を主とし、表層風化防止、表層崩壊防止、岩盤剥離防止等のほか、緑化基礎工の機能も兼ね備えています。
グラウンドアンカー工の支承構造物としての役割もあります。

特長

  • 施工性や密着性に優れている。
  • 凸凹の法面でも地山に沿って設置、施工が可能である。
  • 崩壊の規模に応じて形状や寸法を選択できる。
  • 使用する型枠材はクリンプ金網で、変形ができ軽量で作業がしやすい。
  • 型枠材に埋め込ように吹付をするので、後に外したり解体する必要がありません。
  • 型枠材はメッキになっており、耐久性があります。

事例1

長野市大安寺 2020年7月施工
長野市大安寺
2020年7月施工

事例2

高山村松南 2015年9月施工
高山村松南
2015年9月施工

簡易法枠工

簡易法枠工

吹付枠工のように複雑な型枠材を使用しない簡易型の吹付法枠工法です。
吹付枠工に比べ、工期短縮、コスト縮減、景観保全等に優れた効果を発揮します。

特長

  • 凸凹の法面でも地山に沿って施工が可能である。
  • 直接地山に吹付することで、地山との密着性が向上する。
  • 縦横格子状に組んで吹付するので、地山表層の剥落に対して抵抗力があります。
  • 枠内に緑化基礎工を形成し、景観に配慮した緑化を図ることができます。
  • 使用資材が軽量で法面上での運搬が容易なため、施工性、経済性に優れています。

事例1

長野市戸隠奈良尾 2020年9月施工
長野市戸隠奈良尾
2020年9月施工

事例2

長野市中条 2017年10月施工
長野市中条
2017年10月施工

客土吹付工

客土吹付工

モルタル吹付機(ガン機)やハイドロシーダー機等を使用して、吹付する工法で、厚み1㎝~3㎝の植物の生育基盤を造成し、通常では緑化が困難な場所の緑化に優れている。
基盤を保持するものがないため、種子が生育するまでに浸食する可能性がある施工場所では、植生ネットや金網張工との併用が必要となる。
水、土(または基盤材)、化成肥料、浸食防止材、接合材を混合しよく攪拌した上で、材料を散布する。

種子散布工

種子散布工 種子散布工

ファイバー(被覆材)、種子、化成肥料、接合材を混合したものを、ハイドロシーダー機を使用して吹付する、もっとも簡易な植生工法です。
種子が生育するまでの浸食効果が薄いので、施工時期が春と秋とに限られる。

事例1

飯山市瑞穂グランド
2016年4月施工

植生基材吹付工

植生基材吹付工

ガン機を使用してバーク堆肥(基盤材)、種子、化成肥料、接合材を混合したものを、空気圧縮機(コンプレッサー)の力で圧送し、所定の厚み(3㎝~10㎝)に吹付を行う工法です。金網張工を併用することにより、岩盤や硬質土壌にも緑化が可能となります。

事例1

松本市入山辺 2019年10月施工
松本市入山辺
2019年10月施工

植生工(マット・シート張工)

植生工(マット・シート張工)

主にロール状の製品を法面に敷きながら、止め釘(φ5×150)やアンカー(φ9×200)で、固定し、法面の浸食防止を図る工法です。
張り付け完了後からある程度の浸食防止が期待できることと、種子の養生を兼ねたシート・マット内で発芽生育することで、早期の安定的な法面保護が行われます。

事例1

山ノ内町角間 2017年10月施工
山ノ内町角間
2017年10月施工

落石防護網工(覆式・ポケット式)

落石防護網工

比較的規模の小さい落石が発生する法面や転石混じりの岩盤を、網とワイヤーを用い、覆うことで落石の発生を保護したり、落石が発生した場合でも道路上に石が跳躍しないよう、保護する工法です。

覆式落石防護網

覆式落石防護網工は、落石や転石落下の危険性のある法面に金網とワイヤーで覆うことにより、落石した岩塊を網の内側より、法尻まで誘導をすることで、道路上の災害を防止します。

ポケット式落石防護網工

ポケット式落石防護網工は、張り付ける金網の上部に支柱を設置することで、ポケット(開口部)を形成し、高所からの落石に対応し、落石をポケット内で納めることにより、道路上の災害を防止します。

事例1

須坂市奈良山
2015年10月施工

事例2

須坂市米子 2015年8月施工
須坂市米子
2015年8月施工

バスク方法(既設モルタル再生工法)

バスク方法(既設モルタル再生工法) バスク方法(既設モルタル再生工法)

従来の老朽化したモルタル・コンクリート吹付面を撤去や剥ぎ取りをせず、表面の経年劣化によりクラックの補修や背面の空洞を充填した上で、「ガラス短繊維補強セメント及びエマルジョン樹脂による複合材料(バスク)」を全面に吹付することで、劣化防止と延命を図る、補修・保護の既設モルタルの再生工法です。

特長

  • 既設の吹付部分の剥ぎ取りをしないことで、産業廃棄物の抑制につながります。
  • 全面通行止めなどの交通規制をすることなく施工することが可能です。
  • 既設の剥ぎ取りの工程がなくなることで、工期短縮につながります。
  • 大規模なプラントの無使用、産廃の抑制、大規模仮設防護柵が必要ないので、工事費の節約につながります。
  • 既設法面だけでなく、石積み・擁壁、砂防堰堤、そしてコンクリート構造物の表面の保護にも適応します。

事例1

伊那市高遠 2020年9月施工
伊那市高遠
2020年9月施工

特殊配合モルタル吹付工

特殊配合モルタル吹付工

通常のモルタル吹付とは異なる吹付工で、落石や転石の落下防止はもちろんのこと、自然復元も可能にする特殊工法です。
ポリマーセメントモルタルの接着力を利用し、まぶし吹付を行うことで、半密閉のため吹付部分にすき間ができることで、透水や排水効果があります。
また、柔軟性の高い亀甲金網を使用することで、必要最小限の法面整形のみ行うことで、原形の景観を保持した緑化が可能となります。

事例1

須坂市奈良尾 2015年9月施工
須坂市奈良尾
2015年9月施工

鉄筋挿入工(切土補強土工)

鉄筋挿入工(切土補強土工) 鉄筋挿入工(切土補強土工)

比較的短い棒状補強材(鉄筋やロックボルト)を、削孔後地山に挿入しセメントミルクを注入した後に筒状に一体化させて補強材と地山との緊張力でのり面を補強する工法です。

特長

  • 使用する機械が軽量、小規模で施工が可能で省力化が図れます。
  • 急なのり面の施工が可能な事から、用地、掘削土量の軽減が図れます。
  • 坂巻施工が可能で、安全に作業することができます。
  • 変状が生じた場合、増し打ち等での対応ができます。

鉄筋挿入工は現場に応じて、数種類の削孔方法があります。

【現場条件Ⅰ】 吊下げ式

【現場条件Ⅰ】 吊下げ式

【現場条件Ⅱ】 仮設足場・土足場

【現場条件Ⅱ】 仮設足場・土足場

【現場条件Ⅲ】 ロープ足場による削孔

写真無し

事例1

伊那市長谷 2023年7月施工
伊那市長谷
2023年7月施工

事例2

山ノ内町横湯川
2021年10月施工